森田式トリガーポイント鍼治療による不妊治療の講習会
いつも当ブログをご覧くださりありがとうございます。
美容鍼灸治療院 リネア 武蔵小杉 院長のmotokoです。
昨日はお休みをいただき、森田式トリガーポイント鍼治療による不妊治療の講習会に参加しました。
東洋医学ベースの不妊鍼灸について学べる機会はたくさんありますが、西洋医学的観点から不妊鍼灸を学べる機会はあまり多くなく、解剖生理学をベースとした、子宮内膜を厚くする刺鍼方法, 多嚢胞性卵巣症候群, 原因不明不育症へのアプローチ方法を学んできたので、これからの臨床に活かしていきます。
トリガーポイント鍼とは
トリガーポイントとは『痛覚過敏部位』
虚血、疲労物質、浮腫、筋疲労などが原因で形成されます。
例えば、長時間の姿勢保持やデスクワークなどの座りっぱなしの仕事、スポーツなど筋肉の反復運動を繰り返すことで、 その刺激が筋肉内の血液の循環を悪くし、筋肉に疲労が起こり、筋肉が硬くなることでトリガーポイントが形成されます。
トリガーポイントの特徴
トリガーポイントとはその部分を鍼で刺激すると、響きとか得気と呼ばれる、痛みとは異なるズーンとした感覚や重だるい感覚、痛気持ちいい感覚が発現するポイントのこと。トリガーポイントに鍼があたると、交感神経を上回る副交感神経優位に変化することで、血流が改善します。
薄い子宮内膜に対するアプローチ
子宮内膜の厚さは、健康な女性で約8mmあり、不妊症の女性は5mm以下のことが多いことがわかっています。タイミング法、人工授精、体外受精、どのステージにおいても、赤ちゃんのベッドとなる十分な子宮内膜の厚さは必要ですよね。婦人科学会でも、子宮内膜の厚さが6mm以下だと低体重児で生まれるリスクが高くなるといわれています。
子宮内膜が薄くなる原因
①クロミッドの副作用
②そうは術後など機械的なダメージ
③血流不全
鍼灸治療が適用となるのは主に③血流不全が原因のもの。
アプローチ方法
大殿筋、中殿筋、小殿筋の5か所のトリガーポイントに刺鍼をして響かせます。
筋肉が分厚いところなので、肩周りみたいな鋭い響きではなく、重ーい感じがでますが、臀部の筋肉がほぐれて腰痛にも効いている感じがしました。
多嚢胞性卵巣症候群に対するアプローチ
多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome、略してPCOSやPCO)は、
1)月経が不順である(排卵障害)
2)卵巣に小さな嚢胞(卵胞)がたくさんある(ネックレスサイン)
3)ホルモン値のアンバランスがみられる(LH>FSH)
の3つが揃うと診断されます。
定期的な排卵が起きないため、不正出血が起きたり、無月経や月経不順になったりします。このような排卵障害のために不妊の原因にもなります。
婦人科クリニックでは、妊娠を希望する場合、ホルモン療法をベースにして、経口あるいは注射による排卵誘発剤を用いることにより、排卵を起こして妊娠を目指すことになります。排卵をしやすくするために、卵巣に多数の孔を開ける手術が行われることもあります。体への負担が大きく、手術の効果も半年~1年なので、まずはライフスタイルの改善が求められます。
全身のトリガーポイントに刺鍼し刺激すると、LHが下がり、ホルモンバランスが正常化しスムーズに排卵するようになります。鍼をすることで、ネガティブフィードバックによってLHが下がります。
アプローチ方法
後頭下筋群、肩甲挙筋、頚板状筋、多裂筋、臀部にあるトリガーポイントに刺鍼し、響きを得る
原因不明不育症に対するアプローチ
日本生殖医学会によると、主な不育症の原因は、抗リン脂質抗体陽性、子宮形態異常、夫婦どちらかの染色体異常保因、胎児(胎芽)染色体異常の4つで、原因不明が約25%をしめています。原因不明は血流の問題であり、子宮動脈の途絶、逆流がみられます。
アプローチ方法
流産を繰り返すと、小さな命を失うことが重なり、精神的ストレスが大きくかかってくるため、子宮動脈に対するアプローチのみではなく、メンタルを整える治療や傾聴、テンダーラビングケア(優しく、愛情を持って患者様に接し、そして、いたわる”という、ごくごく単純な治療法。妊娠前~妊娠中にこの精神的ケアを行うことで生児獲得率が上昇することが、海外でも国内でも報告されています)を同時に行います。
トリガーポイント鍼治療の実技
自分の脚、相モデルでの棘下筋、臀部、腸腰筋のトリガーポイントへの鍼を練習しました。
筋肉が多い臀部はズーンとした鍼の響きも気持ち良かったのですが、コリの強い棘下筋、腸腰筋は刺激が強く、刺激に弱い人にはちょっと厳しいかもと思いました。先生によると、東洋医学ベースの鍼灸で効果が見られなかった患者さんが、鍼の刺激を我慢して定期的にトリガーポイント鍼を受けることで、子宮内膜が厚くなり、妊娠した事例も多いとのことです。
コメント